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887 / ロベール  ルパージュ  6月23日(木)


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東京芸術劇場にて
ロベール ルパージュの新作 独り舞台
”887”を観劇。
https://www.geigeki.jp/performance/theater120/


詩の暗誦を依頼された演劇人は
詩を記憶できず四苦八苦しているうち
あることに気がつく。
長期記憶(幼い頃の記憶)はいつまでも持続するが
短期記憶(成人になってからの記憶)は
定着しないと。
この気づきでルパージュ自身の少年時代に
過ごした日々がよみがえっていく。

887とはルパージュが幼いころ過ごしていた
ケベックのアパートの番地。
かれの少年時代(1960年台)は
FLQ(ケベック解放戦線)のテロ活動全盛期で
ケベックも緊迫した空気に包まれていた。
さらに当時住んでいたアパート住人達にも
抜き差しならぬ人生の縮図があり
少年ゆえに 時代の流れと人生の不条理を
多感に残酷に理解する。
幼いころ 彼にとってヒーローだった父は
成長するにすれ人生の敗者だったと
ほろ苦く悟る思いは誰しも子供のころ
親に対して抱いた気持ちと共通する。
ジオラマや先端のビジュアル効果を駆使することで
より立体的に”記憶”というものを再現していく。

舞台があがってすぐは小さな字幕に目が慣れず
集中しづらかったけれど
場面が転換するごとにどんどんルパージュの世界に
引き込まれて行きました。
前回鑑賞した”針とアヘン”も素晴らしかったけれど
今回はさらに内省的な世界が表現され
個人的な思いを沈静させる舞台となり
心動かされました。



by akawak | 2016-06-26 09:09 | daiary